first phrase 06
翌日、私は昨日と同じ場所に立っていた。
記憶が消えると彼は言ったけど、あの後駅についてからも、覚えたままだった。
眠ったら消えてしまうのかも、と徹夜を試みたらいつの間にか寝てしまって。
あわてて飛び起きたけど、昨日のことはしっかりはっきり思い出せた。
どうしてなのかはわからない。
術をかけ損なったのかもしれないし、何か別の理由かもしれない。
でも、そんな細かいことは私にはどうでもよかった。
そびえ立つ、ヨーロッパ風のお屋敷。
確認しに来てみたら、昨日のままの姿でそこに建っていた。
術は完璧に失敗したようだ。
また彼に会える。
そのことが、すごくうれしい。
すがすがしく、晴れた空。
小さい頃からの夢。
魔法。ファンタジー。モンスター。
そんな不思議な世界に足を踏み入れてみたかった。
そして。
私もその中で、小説みたいな恋がしたい。
そのころの私は、人と吸血鬼との恋が小説のようにハッピーエンドになると信じていた。
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